Gmail着信をLINEに通知する

本ページは「ブラウザやLINEが動く高機能ガラケー(ガラホ)」を格安SIMに契約変更したなどの事情でgmailをメインに使う場合に便利なノウハウを書いたものです。スマホや低機能ガラケーを使っている人にはほとんど関係ないのでご注意下さい。
さらに、Page 2 に書いた「ダラケーにGoogle Playのアプリをインストールする」の方法を使ってAqua Mailなどのメールソフトをインストールすることに成功した人は、そちらで十分だと思われます。
なお、多くのガラケーのLINEはアップデータ配布終了しているため2020年9月で利用不可になるとアナウンスされているので、そもそもLINEを使うことができず役に立たないノウハウかもしれません。

背景

通常、ガラケーのメールはプレインストールされたメールソフトで読むのだが、ほとんどが購入先のキャリア(auやsoftbankなど)のメールにしか対応していないので、格安SIMに契約変更すると別のメールソフトを入れる必要がある。別のメールソフト（アプリ）がインストールできる場合は問題無いのだが、ガラケーの多くはアプリのインストールを許していない。ブラウザが入っていればwebメール(gmailやyahoo mailなど)を読むことはできるが、それではメールの着信を検知することはあきらめないといけない。この点が格安SIMに契約変更する際の最大の問題になっている。
なお、ガラケーにメールソフト（アプリ）がインストールできる場合はそっちの方が便利なので本ページに書いた方法は一切不要かもしれない。アプリをインストールする方法はPage2に書いた。

通知の仕組み概要

LINEには "LINE Notify" という仕組みがあり、予め発行した認証用のアクセストークンを使えば、外部（インターネット）からLINEメッセージを自分のアカウントに送ることができる。つまり、LINEがプレインストールされているガラケーの場合、外部のPCなどでメールの着信を定期的にチェックし、着信したらLINE Notifyのメッセージを送ることで、まるでガラケーがメールの着信を検知したように鳴動させることができる。LINEはガラケーのマナーモードにも連動するので、メール着信も連動する。
さらに、gmailを使う場合、GAS(Google Apps Script)という機能が使え、定期的なチェックもできるので、チェック用のPCサーバなど持たなくてもこの設定ができる。本ページでこれらを解説する。

STEP1: LINE Notifyを呼び出す準備

注: STEP1, STEP2 とも設定はPCでできます。

ガラケーのLINEアカウント作成は予めやっておく
LINE Notifyのトークンを取得する
LINE Notify のページにLINEアカウントでログインし、「マイページ」へ行く。既にトークン発行済の時は「連携中サービス」に表示されているが、初めての時は「アクセストークンの発行（開発者向け）」の「トークンを発行する」ボタンを押しトークン名(LINEに表示されるので"Gmail着信"などの判りやすい名前にするといい)を入力し、通知先トークルームは「1:1でLINE Notifyから通知を受け取る」を選択する。すぐに「発行したトークンはこちらです」の表示と共に40桁強のトークン文字列が表示されるので記録しておく。LINEにはPersonal Access Tokenを発行しました。というメッセージが LINE Notify から届く。
取得したトークンの動作確認をする（面倒ならこの項は飛ばして次へ）
取得したトークンを知っていれば誰でもどこからでもLINEメッセージを送ることができる。例えばPCのwgetコマンドを使う場合
wget --no-check-certificate --header "Authorization: Bearer XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX" --post-data="message=test message" https://notify-api.line.me/api/notify
（XXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXXX の部分はトークン文字列に置き換える）
を実行する。成功すると、[トークン名] test message という LINEメッセージが LINE Notify から届く（メッセージが日本語の時はUTF-8で送ること）。「認証に失敗しました」と表示される場合は指定したトークン文字列が間違っているのだろう。
なお、Bearer認証のトークンには有効期限を設けるのが常識なのだが、幸い(?)LINE Notifyのトークンには有効期限が無いので、一度設定すれば定期的に設定し直す必要は無い。

ここまでできれば、あとは「メールサーバを定期的にチェックして、メール着信があればLINE Notifyメッセージを送る」プログラムを書いてPC上で常時走らせるだけのことなのでこの話はおしまいなのだが、実際のところ24時間PCを動かしている人も多くないだろうしプログラミングもやや面倒ということでその方法は忘れてSTEP2へ進む(STEP2からはgmail限定の話になります)。

STEP2: GASでgmail着信を検知し、LINEに通知する設定

GoogleにはGAS(Google Apps Script)という仕掛けがあり、定期的に実行するスクリプトを書いておくことができる。gmailを読み出すAPIもhttpリクエストを出すAPIも用意されているので比較的簡単に目的のスクリプトが書ける。

Google Apps Script(GAS)のスクリプトを設定する
GASにGmailアカウントでログインし、「新しいプロジェクト」で表示されるダミー関数を削除し、通知スクリプトに置き換え「ファイル」「保存」で保存する(プロジェクト名は何でもいい)。
通知スクリプトは自由に書けるが、新着メールの「差出人アドレス」「表題」「時刻」を通知するスクリプト例を下記例示する。このスクリプト例では１行目でLINE Notifyトークンを指定するので、取得した(43桁位の)トークンを記述する。
スクリプト例を表示するスクリプト例を閉じる
var LineNotifyToken = "xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx"; var interval = 62; //(60+α)秒前～現在の新着メールを取得 (main()の実行間隔に合わせる) function send_line(line){ var options ={ "method" : "post", "payload" : {'message' : line}, "headers" : {"Authorization" : "Bearer " + LineNotifyToken}, "muteHttpExceptions" : true // LINEサーバのHTTP ERROR は例外処理せずresponseを返す。 // ただし本オプションでサーバtimeout例外は抑止できない }; // リトライするとGASの処理時間を浪費するのでLINEサーバエラーは無視して新着通知をあきらめる UrlFetchApp.fetch("https://notify-api.line.me/api/notify", options); } function main() { // メールの検索条件指定 var time_from = Math.floor(new Date().getTime() / 1000 - interval); var strTerms = '(is:unread after:'+ time_from + ')'; // 取得 var myThreads = GmailApp.search(strTerms); var myMsgs = GmailApp.getMessagesForThreads(myThreads); // 通知 for(var messages of myMsgs.reverse()) { //古い方を先に処理 var message = messages.pop(); // thread内の最新のだけ拾う // thread内にあればゴミ箱にあっても引っかかることにも配慮 var date = message.getDate(); var fromaddr = message.getFrom(); // メールアドレス以外（名前など）があれば捨てる var fromaddr2; // work if (fromaddr2 = fromaddr.match(/<(.+)>/)) { fromaddr = fromaddr2[1]; } // GASのエラーレポート受信は無視する（目障りなので） if (fromaddr == 'apps-scripts-notifications@google.com') { continue; } // 良く使う相手は愛称に変換（お好みで） //if (fromaddr == 'mymother@foo.bar.baz') { fromaddr = '母'; } msg = " " + (date.getMonth() + 1) + "/" + date.getDate() + " " + ("0" + date.getHours()).slice(-2) + ":" + ("0" + date.getMinutes()).slice(-2) + ":" + ("0" + date.getSeconds()).slice(-2) + " from " + fromaddr + " [" + message.getSubject() + "]"; // 5/20 03:21:08 from foo@bar.baz [SUBJECT] // ちなみに本文(Plainテキストのみ)も取りたければ getPlainBody() を使えばいい send_line(msg); } }
このスクリプトは、最近１分以内の新着メールがあればその時刻とメールアドレスと表題をLINE Notifyに送るものである。つまりこのスクリプトを１分毎に動かせば(後述)、メール着信を概ね検知してLINEを鳴動させることができる。
なお、表題は getSubject() で取得しているが、本文(Plainテキスト)も取りたければ getPlainBody() を使えばいい。
GASのスクリプトからデータへのアクセス権を設定する
先ほどのスクリプト設定画面で「関数の選択」でメインの関数を選び、「実行」「関数を実行」すると「Authorization required」の警告ダイアログが出るので、「許可を確認」「アカウントの選択」で別の警告ダイアログ「このアプリは確認されていません」が出るのでダイアログ内の「詳細」で下の方に小さく表示されるリンク「安全ではないページに移動」をクリックし「許可」ボタンをクリックすれば終了（この操作のセキュリティ通知メールがGmailに届くはず）。
この設定は最初１回だけやればいいのだが、Googleのセキュリティポリシーが変更された時には再度要求されることもある。(その場合、apps-scripts-notifications@google.com からエラーメッセージ「その操作を実行するには承認が必要です」が来るので気付く)
設定をテストする

fig1 fig2
Gmailにメールを送った後、スクリプト設定画面の再生（実行）ボタンを押すと「Running function...」が表示され、（まだトリガが手動だけれど）確かにLINEに通知されることが確認できる。成功したらこの操作が自動で(定期的に)行えるよう、「編集」「現在のプロジャクトのトリガー」「トリガーを追加」で実行する関数をメイン関数に指定し、「時間主導型」「分ベースのタイマー」「1分おき」「毎日通知を受け取る」を指定し「保存」する。ここで指定した1分おき、というのは勿論スクリプトで想定したインターバルに合わせるという意味である。これで再度Gmailにメールを送った後、LINEに通知が来たら成功！(原理的には1分以内だが実際は3～5分掛かることもある)。まず、fig1 のような通知が出て、LINEを開くと fig2 のように "LINE Notify" さんからのLINE messageとしてメールの表題などが見える。
なお、既に設定したトリガーを後から編集する場合その方法が判りにくいが「現在のプロジェクトのトリガー」を選んだ後の画面に編集アイコン(鉛筆)がある。
補足1
GASの実行時間や回数には制限がありるが、これにしか使わないのであれば問題になることはなさそう。もしLINEのサーバが腐っていてUrlFetchがハングアップしたとしても6分で強制終了されるので、LINEの異常が続かない限り心配無用です。
補足2
ここに書いた例では、GAS最短の1分おきにでチェックするようにしているが、実際にはケータイのLINEアプリにすぐに着信するわけではないので、3分位掛かることもある。PC用のLINEはすぐに反応するのでGASやLINE Notifyそのものにディレイがあるわけではなさそう。

参考文献

GASとLINE Notifyそれぞれの仕様を勉強するのが本来の姿だが、目的が達せられれば十分という方は日本語まとめ記事は至る所にあるのでその方が手っ取り早い。「あっとはっく」による解説あたりが読み易い。


fig1	fig2