ソフト会社、図書館側に不具合伝えず アクセス障害問題

2010/8/21 19:32

 愛知県岡崎市立図書館のホームページにサイバー攻撃をしたとして男性(39)が逮捕された後、朝日新聞の取材で図書館のソフトの側に攻撃を受けたように見える不具合があることが発覚した問題で、ソフトを開発した三菱電機インフォメーションシステムズ(MDIS)は、2006年の段階で不具合を解消した新しいソフトを作っていたことがわかった。

 同社は岡崎の図書館には不具合の情報を伝えていなかった。旧ソフトを使い続けた図書館側は、攻撃を受けたと考えて県警に被害届を提出。男性の逮捕につながっていた。

 逮捕され、起訴猶予となった男性は自作プログラムで図書館のホームページから蔵書の新着情報を集めていた。旧ソフトは、蔵書データを呼び出す電算処理を継続したままにする仕組みで、アクセスが集中するとホームページが閲覧できなくなり、サイバー攻撃を受けたように見える不具合があった。

 MDISは06年、不具合を解消した新ソフトを開発。東京都渋谷区など全国約45カ所に納入した。しかし、一部では旧ソフトが更新されずに使われ続け、広島県府中市で08年末、石川県加賀市で09年夏、大阪府貝塚市で09年末に閲覧障害が起きた。

 岡崎の図書館では、今年3月に閲覧できなくなった。取材によると、MDISは直後にアクセス記録から原因を把握していたが、図書館側に他の図書館で同じような閲覧障害が起きていたことを伝えていなかった。

 旧ソフトは現在も約30カ所の図書館で使われている。ある図書館の関係者によると、新ソフトは06年以降に新しくMDISと契約したか、大規模にコンピューターを増強、更新した場合に限って導入されていた。旧ソフトを使うある図書館の職員は「ホームページが閲覧しにくくなるのは、コンピューターの性能が低いからだとMDISに言われた」と話す。

 閲覧障害の情報を伝えていなかったことについて、MDIS・ITソリューション事業部は「社内で情報の共有が不徹底だった」と説明。男性が逮捕されたことについては「コメントできない」としている。(神田大介)